冥府

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冥府の戦友と語る

ビルマ国に残った北村作之丞君

北村作之丞君は、新潟県新井市出身(現上越市新井)で所属は歩兵第十六連隊第九中隊である。
同君はイラワジ河畔の戦闘から撤退時に離隊ビルマラングーンに残り、いろいろな経緯を経て、中国人と結婚ラングーンの街はずれに理髪店をしている。
孫八人もある幸せな家庭生活とのことである。

軍律や家庭のプライバシーのことについては問題点なしとはしないが触れることは避ける。
しかし当時本人の体調、隊の混乱、ビルマの状況即ち人情、宗教、日本人に対する感情、風土等からその条件が叶えられた残留条件であり、彼の行動は黙認すべきであった。

復員後彼の消息が判明してからも、留守家族も家庭的に死亡としての整理をした、今更生還は困るという実情があり、我々戦友会が彼の一時帰国に関る旅費、滞在費等は調達して受け入れた。
しかし彼も我々が面倒をみなければどうしようもなかった。

戦争被害者の一人であった。
本人の意思もあり一時帰国、戸籍復活、そして国籍もとり再びよろこんでビルマに帰った。
我々も他人事ではなく彼の幸せを心からよろこび将来を祈った。
『戦争の陰の一隅より』




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