冥府

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続・越佐健児の石碑(いしぶみ) 第二部 新発田西公園所在の石碑・塔群

四、 再生戦碑保存会の記録

(一) 保存会の経緯

昭和六十三年、昭和天皇がお隠れになられ、年号も平成と改元され、或る意味に於いて戦後の始まりとなる。
政治情勢も大きく変り、自衛隊を容認していない社会党、村山政権が誕生するに及び、これからの日本の進路に対して危機感を深める。

特に明治初年以来、軍都として発展した新発田市・西公園の一隅に在って、日・清戦役をはじめとし、国の命運を賭して戦った幾多の戦いにおいて、郷土の名誉のために、一身を犠牲にして戦没された歴史を刻む、数多くの慰霊塔・碑の記録管理が不分明のまま放置されている現状である。

終戦時の混乱の中にあって、国(軍)の当時の町行政機関間の移管手続きがなおざりにされ、その所管について空白が生じた次第である。
その後、米進駐軍の進駐に際して、破壊を指示されたが、心ある一部有志町会議員の捨て身の抵抗によって、取り壊しを免れ、現状のまま存在することとなった。

その後、新憲法の「政教分離」を楯として行政は、「敷地用地は、市の公園の一部であるが、塔・碑建造物は関知しない」との見解に終始して現在に至っている。
毎年春の招魂社の例大祭として、納骨堂に於いて遺族会主催、市の後援の形で慰霊祭を行っているが、塔・碑建造物については管理には拘わっておらず、長年の風雪で破損が進み、その保存が危ぶまれている状況となる。

以上の現状を黙視するに忍びなく、自衛隊O・B有志の集まり「防衛懇話会(代表・畑山)の発意により、平成三年春、関係団体に呼びかけ、あやめ会(旧歩兵十六連隊戦友会)等に保存会の発足を呼びかけ、各団体の理解ある協力を得て、会則を定め、任意団体として組織を発足した。
そして保存会の事業展開のため、関係団体を主体に、広く一般市民に呼びかけて保存基金の募金活動を行い、良好な維持管理の活動を開始する。

たまたま平成七年には、戦後五十年の節目の年に当たり、第二次の募金活動を展開して環境整備に充てることとした。
以上、詳細は前編「越佐健児の石碑」を参照されたい。
然しながら年を経るに従い、各団体の会員の老齢化が進み、平成二十二年には各団体の解散或いは休会が続き、保存会の存在が危ぶまれる現実となった。

これら各団体の会員として現存する所謂、「戦中派」に属する一部有志が相謀り、平成二十二年春、再生・保存会を立ち上げ、ここに新しく会則を定め、事業計画を展開し、所在の建造物の整備を図ることとする。



(二) 再生・保存会の会則及び事業展開の要旨

新発田西公園戦没者慰霊塔・碑保存会会則
一、 目的
新発田西公園に所在する、旧歩兵十六連隊の各戦役等の戦績記念塔・碑は、明治十七年に軍旗を拝受以来、国軍の最精強部隊として各戦役等にことごとく参加した越・佐健児の国難に赴いた戦績の祈念塔・碑であり、戦役者の慰霊追悼の思いを込めた新発田の歴史的な遺産として、将来にわたり良好な保存を維持することを目的とする。

二、 事業
その目的を達成するために、努めて現状の保存のまま景観を修理・整備するほか、新たにビルマ戰最後とする「軍機奉焼之碑」建立碑を設置する事業を行う。

三、 正会員、及び賛助会員
(一) 正会員は柴谷居住する旧軍々歴を有し、事業推進の実行委員を兼ねる者とする。
(二) 賛助会員は、目的の趣旨に賛同し、事業推進に協力する者とする。

四、 経費
事業達成のための経費は、現在保有する新発田西公園戦没者慰霊塔・碑保存会の基金を充てる。
現状により、賛助会員からの拠出金を充てるものとする。

五、 会議
正会員による年一回の連絡会議を正式会議とする。
費用は私弁とする。

六、 その他
参加する有志会員別表のとおり。
事業推進計画は別途定める。

(別表会員名簿)
旧陸関係
 畑山 秀三 ・ 池田 壽也 ・ 藤原 晴和 ・ 須佐 三郎
旧海関係
 島津 憲一 ・ 小川 利行 ・ 長谷川良作 ・ 秋山 祐作
名誉顧問
 長谷川栄作


事業計画の骨子…
在来の建造物は、努めて設立当時の形態を維持し、美観に堪え得るよう環境整備を行うほか、新たに、旧歩兵十六連隊の終焉となった「軍旗奉焼之碑」を設置する。
なお、実施に際しては、市行政との連絡を密にし、安全上の確保に留意することとする。


(付)作業記録
新設「軍旗奉焼之碑」建立作業記録



軍歌、十六連隊歌冒頭”東ニ高キ飯豊山”兵士等しく仰ぎ見た山系の原野より発掘。









付)所要経費
一、 所在する塔・碑(除バゴタの塔)
ア、 施行業者 鰍、ちだや
イ、 工事費  1,050,000円
二、 バゴタの塔全面改修
ア、 施行業者 新発田建設
イ、 工事費  1,068,000円
三、新設「軍旗奉焼之碑」
ア、 施行業者 比企石材店
イ、 工事費   430,000円
ウ、 作業記録 写真の通り


(三) 発会式及び連絡会議
○発会式
 平成二十二年五月二十二日
 於 豊谷殿
○ 第二回連絡会議
平成二十二年六月二十五日
 於 豊谷殿
○ 第三回連絡会議
 平成二十二年七月三十一日
於 現地、及び自衛隊隊員クラブ

発会式


第二回連絡会議


第三回連絡会議




(四) 除幕式及び完結式
 平成二十二年八月二十三日
 於 郷社諏訪神社、及び豊谷殿
 案内文(付表一)
 式辞(付表二)

(付表一) 案内文
拝啓
時下益々御清栄の段お慶び申し上げます。
扨て比の度、新発田西公園の一隅に於いて、郷土部隊・旧歩兵第十六連隊「軍旗奉焼之碑」の建立・設置にあたり、左記により除幕式を催行致すことに相成り、御多用中とは存じますが御臨席を賜りたくご案内を申し上げます。

左記
一、 趣 旨
明治十七年、新発田第十六連隊に軍旗拝受以来約半世紀にわたり国運を賭した各戦役、事変に参加し戦没した幾多の祖父の慰霊追悼と我が国の平和を祈念して、併せて郷土の発展を祈願するものであります。

二、 日 時
平成二十二年八月二十三日(月曜日)
午前十時三十分より

三、 場 所
 郷社 諏訪神社 拝殿

四、 式進行
(一) 開式の挨拶
(二) 国民の儀礼(国歌斉唱・黙祷)
(三) 式辞 元あやめ会会長 長谷川 栄作
(四) 神宮 祝詞奏上
(五) 玉串奉奠(順次)
(六) 感謝状贈呈
(七) 閉式の挨拶

五、 御来賓
新発田市長殿
陸上自衛隊新発田駐屯地司令殿
日本遺族会新発田支部代表
元あやめ会事務局
隊友会新発田支部事務局
新発田市郷友会事務局
工事関係者代表

六、 その他
(一) 服装は平服とする。
(二) 同封ハガキにて八月十八日までに返信。
以上
平成二十二年八月十日
 再生 西公園戦没慰霊塔・碑保存会
   代表 畑山 秀三


(付表二) 式辞
本日の挙式にあたりまして一言式辞を述べさせて戴きます。
本日私共、旧新発田歩兵第十六連隊関係者のみならず、新潟県民全体が共有する懸案であった旧歩兵十六連隊軍旗の処理について、流石軍都・新発田市民の本流である理事者の発意によって有志の方々が集まり軍旗奉焼碑の建立を立案茲に完成の除幕式が挙行されるに至りました。

軍都新発田市の歴史に大きく尊い意義を遺されたものと、心から称賛申し上げるものであります。
昭和二十年八月十五日敗戦によって多くの問題点が提起されました。
軍旗に関わる件も、該当事でありました。
国際法並びに軍の統治権に関わる点において単なる物質ではなく多様性を含めた神秘性なものでありました。

それらの件を条理を尽くして申し上げれば多くの時間を必要としますので後日にゆずりたいと存じます。
本日はこれが奉焼之碑が建立されたことによって亡き冥友を始め県民各位に対しても安堵を与えたものと考えられます。
重ねてこれが処理万端に尽くされた各位に対し満腔の敬意と感謝を申し上げた式辞といたします。

平成二十二年八月二十三日
    元歩兵第十六連隊
     戦友会 会長 長谷川 栄作















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