冥府

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続・越佐健児の石碑(いしぶみ) 第一部 軍旗に寄せて

一、軍旗に寄せて

軍旗に関わる評価は当時の時代背景を共に生き日常生活で経験することのできる通常の状態を超えた事象に対する信念体系が確立となければ目線を同じくして論ずることはできない。

我々には単なる物体や物件ではなかった。
さりとて法制のもとに格付けされた法人でもなかった。
強いて極言をするならば集団の象徴或いは崇敬の像であり、更には国家国民の総意を衆心一致としてこれに籠め常に我々の意志が本流に統一されて行動目的を律し同一生命体としての存在であった。

平成二十二年八月二十四日

          仙台第二師団歩兵第十六聯隊戦友会
          元アヤメ会会長 長谷川 榮作 (評)
(付一)
新発田歩兵第十六連隊軍旗保管伝承記
 国敗れて山河あり
     軍旗は護られた


明治十七年六月二十五日、新発田に歩兵第十六聯隊が設置された。
明治十七年八月二十四日、宮中に於いて下記の勅語によって軍旗が授与された。

勅  語

歩兵第十六聯隊編成をナルヲ告ク仍テ今其隊旗ヲ一流ヲ授ク汝軍人等協力同心益々威武ヲ宣揚シ我帝国ヲ保護セヨ


初代聯隊長 歩兵中佐 山本清堅の奉答

 奉  答  
敬テ明勅ヲ奉ス臣等誓テ国家ヲ保護セン


尓来百二十年余にわたり複雑多岐にわたる国際間にあって紛爭、事変、戦爭と常に組織の象徴となって来た。
昭和二十年八月二十日、国家民族の存亡をかけた大東亜戦爭は敗戦という結末となった。
敗戰という裁きは冷酷であり、軍旗が敵手に渡ることを憂えてこれが焼却すべしとの命令が二回にわたっり軍命として示達された。

しかし聯隊長堺吉嗣大佐の決断により全焼を避けて主要部分を祖国に持ち帰ってこれを復元した。
ところでこれが保管について規制が厳しく目の届く場を得るに容易でなかった。 茲に新潟護国神社の懇得なる御理解と御配慮により広く県民の目の届く場で安住の居を得ることが出来た。

平成十六年十二月八日、生き残り少ない歩兵第十六聯隊戦友会の開催を契機として関わった出席者各位が署名いたして経緯を詳らかにして後世に伝え残すこととした。
以て広く越佐県民の心の財産として銘記してゆかれることをよろこびとして遺す。

平成十六年十二月八日

         新発田歩兵第十六聯隊戦友会 長谷川 榮作


(付二)
旧歩兵第十六聯隊軍旗三題
明治十七年、宮中にて拝受、栄光の軍旗






元陸軍中将 本間 雅晴
歩十六当時中隊長・佐渡郡出身・比島派遣第十四軍司令官・戦後比国マニラで刑死。



中国大陸及び南冥の果てへ往く歴戦の軍旗




歩兵第十六聯隊歌

本間 雅晴 作詞
=大正・昭和時代 他歴戦者 追詞

一、東に高き飯豊山      西には清き加治の水
  下越の平野にそゝり立つ  菖蒲の城は此処にあり
  我が十六 我が十六    我が聯隊は御国の護

二、我等此処に屯して     練兵場の朝夕や
  大日原の春秋に      心を鍛へ武を磨き
  我が十六 我が十六    我が聯隊は御国の光

三、伝統こゝに輝きて     士風の基いや堅く
  純朴の気地に充ちて    剛健の意気天を衝く
  我が十六 我が十六    我が聯隊は御国の鑑

四、あゝ君見ずや威海衛    楊城塞にスパスコエ
     又嫩江の戦闘に      建てし軍旗の勲しを
  我が十六 我が十六    我が聯隊は御国の誇

五、蒙古平原踏破して     天鎮大同打ち鎮め
  チヤハルの平和築きたる  軍旗の勲いや高し
  我が菖蒲 我が菖蒲    我等の部隊は興亜の基

六、越佐健児の意気高く    堅忍持久難に克ち
  鉄角嶺や原平鎮      凱歌も高き太原城
  我が菖蒲 我が菖蒲    我等の部隊は亜の力

七、伝統更に輝きて      死を鴻毛に比べたる
  ハルハ河畔の奮戦は    忠勇義烈比なし
  我が菖蒲 我が菖蒲    我等の部隊は興亜の鎮

八、八紘一宇の聖戦に     大詔かしこみ意気高く
  進むメラク レウリアン  ジャワ戡定の勝鬨ぞ
  我が菖蒲 我が菖蒲    我等の部隊は大東亜の命脈

九、往けソロモンの涯遠く    ジャングル深く拓開き
  砲爆弾下草を噛み      試練に耐えし加治桜
  我が菖蒲 我が菖蒲     我等の部隊は大東亜の前衛

十、五條の教仰ぎつゝ      高き誇を身にしみて
  今ぞ進まん我が戦友     励まん菖蒲の健男児
  我が十六 我が十六     我が連隊は御国の護


鉾を収めて  ---新潟県護国神社に掲額 修復軍旗







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